酸化銀の熱分解で、反応式がなかなか書けない…
「2Ag₂O」の2や4がどこから出てくるのか分からない…
実験の結果と、気体の確かめ方が覚えられない…
こういう中2の人に向けて書きました。
結論からいうと、酸化銀を加熱すると、銀と酸素に分かれます。
化学反応式は2Ag₂O → 4Ag + O₂です。
酸化銀の熱分解とは
1種類の物質が、2種類以上の別の物質に分かれる変化を分解といいます。
そのうち、加熱して起こす分解を熱分解といいます。
酸化銀(Ag₂O)を加熱すると、銀(Ag)と酸素(O₂)に熱分解します。
| 加熱する前 | 加熱したあと | |
|---|---|---|
| 物質 | 酸化銀 | 銀 |
| 色・見た目 | 黒っぽい粉末 | 白っぽい固体(こすると金属光沢が出る) |
| もう1つできた物質 | ― | 酸素(気体) |
酸化銀の熱分解のしくみ
実験の手順と装置
酸化銀を試験管Aに入れて、ガスバーナーで加熱します。
出てきた気体は、ゴム管とガラス管を通して、水で満たした試験管Bに集めます。
このように水の中で気体を集める方法を、水上置換法といいます。
試験管Aの口は、少し下げておきます。
こうしないと、できた液体(水など)が加熱部分に流れて、試験管が割れることがあるからです。

集めた気体は酸素
試験管Bに集めた気体に、火のついた線香を入れます。
線香が炎を上げて激しく燃えれば、その気体は酸素です。
なお、加熱しはじめに出てくる気体は、装置の中にもともとあった空気がほとんどです。
そのため、最初に出てきた気体は捨てて、そのあとの気体を集めます。
加熱後の白い物質は銀
加熱後の試験管に残った白っぽい物質が銀かどうかは、次の性質で確かめます。
- 薬さじでこすると、金属光沢が出る
- 電気を通す
- たたくとのびて広がる
この3つはどれも金属の性質です。
酸化銀は黒っぽくて、こすっても光りません。
電気も通しません。
つまり、加熱前とはちがう物質ができたことが分かります。
化学反応式の書き方
化学反応式は、次の順で書くと間違えません。
- ① 言葉で書く: 酸化銀 → 銀 + 酸素
- ② 化学式にする: Ag₂O → Ag + O₂(銀は原子1個がそのまま物質なので Ag、酸素は原子2個が結びついた分子なので O₂)
- ③ 左右の原子の数を合わせる
③を見てみましょう。
Ag₂O → Ag + O₂ のままだと、酸素原子(O)が左は1個、右は2個で合いません。
そこで、左の Ag₂O を2個にします。
2Ag₂O → Ag + O₂ になり、酸素原子は左右どちらも2個です。
ところが今度は銀原子(Ag)が左は4個、右は1個です。
そこで、右の Ag を4個にします。
できあがりは次のとおりです。
2Ag₂O → 4Ag + O₂
| 銀原子(Ag) | 酸素原子(O) | |
|---|---|---|
| 左(2Ag₂O) | 2×2=4個 | 2×1=2個 |
| 右(4Ag + O₂) | 4個 | 2個 |
左右で原子の数が同じになりました。
化学変化では原子の種類と数が変わらないので、左右で数が合うことが大切です。
例題: 質量の変化を計算する
酸化銀6.0gを十分に加熱したところ、あとに残った銀は5.6gでした。
このとき発生した酸素の質量は何gでしょうか。
化学変化の前後で、物質全体の質量は変わりません(質量保存の法則)。
酸素は気体として出ていったので、減った分が酸素の質量です。
6.0 − 5.6 = 0.4
答えは0.4gです。
よくある間違い
① 酸素を「O」と書いてしまう
酸素は原子が2個結びついた分子で、O₂と書きます。
右辺を「4Ag + O」と書くと、左右の酸素原子の数は合っても、酸素の化学式として間違いです。
② 係数の2と、小さい2を混同する
Ag₂O の小さい2は、「銀原子が2個くっついている」という酸化銀の形で、変えられません。
2Ag₂O の前の大きい2は、「酸化銀が2個ある」という意味で、数を合わせるために変えるのはこちらです。
③ 加熱をやめるとき、火を先に消してしまう
火を先に消すと、試験管の中の気体が冷えて縮み、水が試験管Aへ逆流します。
熱い試験管に水が入ると割れるおそれがあります。
加熱をやめるときは、先にガラス管を水の中から抜いてから、火を消します。
入試ではこう出る
入試では、上の装置の図を見せて、次のような形で問われます。
試験管Aは何を入れた試験管か、加熱後の物質は何か、集めた気体は何か、といった図の読み取りです。
装置の図の「ガラス管」「ゴム管」「試験管A・B」「水」などの名前は、実験の手順と結びつけて覚えておきましょう。
よく出る問いは、次の4つです。
- 化学反応式を書かせる問題
- 発生した気体と、その確かめ方を答えさせる問題
- 加熱後の物質が銀だといえる理由(金属の性質)を答えさせる問題
- 加熱をやめるときの操作と、その理由を書かせる記述問題
練習問題
問1 酸化銀を加熱すると、銀と酸素に分かれます。
この化学変化を化学反応式で書きなさい。
問2 酸化銀を加熱して発生した気体を集めました。
この気体が酸素であることを確かめる方法と、そのときの結果を書きなさい。
問3 加熱後に残った白っぽい物質をとり出し、薬さじでこすると光りました。
この物質が金属だといえる、ほかの性質を1つ書きなさい。
問4 酸化銀2.90gを十分に加熱したところ、あとに残った物質は2.70gでした。
①発生した酸素の質量は何gですか。
②同じ実験で酸化銀を5.80g使ったとき、発生する酸素は何gですか。
問5 酸化銀の加熱をやめるとき、火を消す前にガラス管を水の中から抜きます。
その理由を書きなさい。
解答と解説
問1
答え: 2Ag₂O → 4Ag + O₂
考え方は、酸化銀 → 銀 + 酸素 を化学式にして、左右の原子の数を合わせます。
Ag₂O → Ag + O₂ では酸素原子が左1個・右2個なので、左を2Ag₂Oにします。
すると銀原子が左4個になるので、右を4Agにします。
問2
答え: 火のついた線香を入れると、線香が炎を上げて激しく燃える。
酸素には、ものを燃やすはたらきがあるからです。
問3
答え: 電気を通す。
(「たたくとのびて広がる」でも正解です)
金属光沢のほかに、電気を通す・たたくと広がるのも金属の性質です。
問4
答え: ① 0.20g ② 0.40g
①は質量保存の法則から、減った質量が発生した酸素の質量です。
2.90 − 2.70 = 0.20
②は、酸化銀の質量と発生する酸素の質量が比例します。
5.80gは2.90gの2倍なので、0.20 × 2 = 0.40
問5
答え: 火を先に消すと、試験管の中の気体が冷えて縮み、水が逆流して、熱い試験管が割れるのを防ぐため。
- 酸化銀を加熱すると、銀と酸素に熱分解する
- 化学反応式は 2Ag₂O → 4Ag + O₂
- 酸素は水上置換法で集め、火のついた線香が激しく燃えることで確かめる
- 加熱後の銀は、こすると金属光沢が出て、電気を通す
- 加熱をやめるときは、先にガラス管を水から抜く
同じ熱分解や化合の単元は、次の記事も読んでおくと整理しやすくなります。



















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