- 授業でイオン式が出てきたけど、どれが何だか分からない…
- Na⁺とか Cu²⁺とか、右上の記号の意味が分からない…
- イオン式を一覧で覚えたいけど、丸暗記になりそうで不安…
こういう人に向けて書きました。
結論からいうと、イオン式は「原子が電子を何個失ったか、何個受け取ったか」を右上に書いただけのものです。
電子を失えば+(陽イオン)、受け取れば−(陰イオン)で、個数が右上の数字になります。
この記事では、中学で覚えるイオン式の一覧と、丸暗記を減らす覚え方、入試での出方まで説明します。
イオン式とは
イオン式とは、イオンを化学式で表したものです。
イオンとは、原子(または原子の集まり)が電子を失ったり受け取ったりして、電気を帯びたものをいいます。
原子の中では、原子核の中の陽子の+と、まわりの電子の−の数が同じなので、全体としては電気を帯びていません。
ところが電子が出入りすると、この+と−の数がずれて、電気を帯びます。
- 電子を失った → +が余る → 陽イオン
- 電子を受け取った → −が余る → 陰イオン
たとえばナトリウム原子(Na)は、電子を1個失うとナトリウムイオン(Na+)になります。
塩素原子(Cl)は、電子を1個受け取ると塩化物イオン(Cl−)になります。
下の図で、電子の出入りと右上の記号の関係を確かめてください。

図のように、電荷が1個分のときは数字の「1」を省略して、+や−だけを書きます。
イオン式の書き方のルール
イオン式は、次の順に書きます。
- 元素記号(または原子の集まりの化学式)を書く
- 右上に、出入りした電子の個数を書く
- 右上の数字のあとに、陽イオンなら+、陰イオンなら−を付ける
たとえば、銅原子が電子を2個失ったときは、Cu2+です。
「2+」と読み、数字が先、符号があとの順です。
なお、右上の数字のことを、価数(かすう)といいます。
1個なら1価、2個なら2価です。
原子の集まりのイオンもある
イオンには、原子が1個だけのものと、いくつかの原子が集まったものがあります。
後者の例が、硫酸イオン(SO42−)や水酸化物イオン(OH−)です。
このタイプは、集まりぜんぶで1つのイオンなので、化学式の右下の小さな数字はそのまま残して、右上に電荷を書きます。
イオン式の一覧
中学の教科書や入試に出てくる、おもなイオンを一覧にしました。
陽イオン
| 名称 | イオン式 | 価数 |
|---|---|---|
| 水素イオン | H+ | 1価 |
| ナトリウムイオン | Na+ | 1価 |
| カリウムイオン | K+ | 1価 |
| 銀イオン | Ag+ | 1価 |
| アンモニウムイオン | NH4+ | 1価 |
| マグネシウムイオン | Mg2+ | 2価 |
| カルシウムイオン | Ca2+ | 2価 |
| バリウムイオン | Ba2+ | 2価 |
| 亜鉛イオン | Zn2+ | 2価 |
| 銅イオン | Cu2+ | 2価 |
陰イオン
| 名称 | イオン式 | 価数 |
|---|---|---|
| 塩化物イオン | Cl− | 1価 |
| 水酸化物イオン | OH− | 1価 |
| 硝酸イオン | NO3− | 1価 |
| 硫酸イオン | SO42− | 2価 |
| 炭酸イオン | CO32− | 2価 |
教科書によっては、鉄イオン(Fe2+、Fe3+)やアルミニウムイオン(Al3+)、酸化物イオン(O2−)も載っています。
自分の教科書に載っているかどうかを、一度見ておきましょう。
イオン式の覚え方
15個ほどあるので、全部を1個ずつ暗記しようとするとしんどいです。
次の3つに分けると、覚える量がぐっと減ります。
① 金属は陽イオン、非金属は陰イオンになりやすい
Na・K・Mg・Ca・Cu・Zn・Ag などの金属の原子は、電子を失って陽イオンになります。
Cl・O などの非金属の原子は、電子を受け取って陰イオンになります。
例外として、水素(H)は非金属ですが陽イオン(H+)になります。
これは、水素イオンだけ特別に覚えてください。
② 価数は、元素の仲間で決まっている
同じ仲間の元素は、同じ価数のイオンになります。
- Na・K(周期表で左端の仲間)→ どれも1価の陽イオン
- Mg・Ca・Ba(左から2番目の仲間)→ どれも2価の陽イオン
- Cl(右から2番目の仲間)→ 1価の陰イオン
- O(右から3番目の仲間)→ 2価の陰イオン
だから、ナトリウムを覚えていれば、カリウムも1価だと分かります。
マグネシウムを覚えていれば、カルシウムも2価だと分かります。
③ 原子の集まりのイオンは、5個だけ丸暗記する
どうしても丸暗記が必要なのは、原子の集まりのイオンです。
- 水酸化物イオン OH−
- 硝酸イオン NO3−
- 硫酸イオン SO42−
- 炭酸イオン CO32−
- アンモニウムイオン NH4+
このうち陽イオンはアンモニウムイオンだけで、あとの4つは陰イオンです。
名前と形を、声に出して言いながら書いて覚えるのがおすすめです。
ここまでの3つが分かれば、一覧のほとんどは「覚える」のではなく「導ける」ようになります。
なぜその価数になるのか|電子の数で考える
理由まで知りたい人は、ナトリウムと塩素を例に、電子の数を数えてみましょう。
ナトリウム原子は原子番号が11なので、電子を11個もっています。
電子は内側の電子殻から順に、2個、8個と入っていくので、ナトリウムの電子は内側から2個、8個、1個になります。
いちばん外側の1個を失うと、電子は2個、8個になって安定します。
これが、ナトリウムが1価の陽イオン(Na+)になる理由です。
一方、塩素原子は原子番号が17で、電子は内側から2個、8個、7個です。
外側があと1個で8個になるので、電子を1個受け取って安定します。
これが、塩素が1価の陰イオン(Cl−)になる理由です。
同じように考えると、マグネシウム(原子番号12、電子は内側から2個、8個、2個)は外側の2個を失ってMg2+になります。
このように、価数は「外側の電子が何個、出入りすると安定するか」で決まります。
よくある間違い
イオン式の電荷と、化学式の小さな数字を混同する
SO42−の右下の「4」は、酸素原子が4個あるという意味です。
右上の「2−」は、電子を2個多くもっているという意味です。
右下と右上で意味がまったく違うので、位置を見分けましょう。
価数と符号の順番を逆に書く
Cu+2のように、符号を先に書くのは間違いです。
正しくはCu2+で、数字が先、符号があとです。
陽イオンと陰イオンの電子の増減を逆にする
「陽イオンは+だから電子が増える」と考えてしまう人が毎年います。
陽イオンは、−の電子が減って+が余ったものです。
陰イオンは、−の電子が増えて−が余ったものです。
陽子の数は、イオンになっても変わりません。
入試ではこう出る
入試では、イオン式そのものを書かせる問題が基本です。
そこから発展して、電離を表す式(化学式をイオン式に分ける式)を書かせる問題がよく出ます。
先ほどの図のように、原子が電子を出入りさせてイオンになる図を見せて、イオンの名称やイオン式を答えさせる問題も出ます。
図の中の原子番号(陽子の数)と電子の数から、「何価のイオンか」を読み取る力が問われます。
電離の式の例
電離の式は、次のように「左に化学式、右にイオン式」を書きます。
- 塩化ナトリウム: NaCl → Na+ + Cl−
- 塩化水素: HCl → H+ + Cl−
- 水酸化ナトリウム: NaOH → Na+ + OH−
- 塩化銅: CuCl2 → Cu2+ + 2Cl−
- 硫酸: H2SO4 → 2H+ + SO42−
電離の式では、左と右で、原子の数と電荷の合計が同じになっていることが大事です。
たとえば塩化銅の式では、右側の電荷の合計は、2+と、1−が2個で2−だから、合計0になって、左の電気を帯びていない塩化銅と合います。
この電離の式が使われる実験として、塩化銅水溶液の電気分解があります。
詳しくは、あとの関連記事で説明しています。
練習問題
- 【問1】銅原子が電子を2個失ってできるイオンの名称とイオン式を答えなさい。
- 【問2】硫酸イオンのイオン式を答えなさい。
- 【問3】マグネシウム原子(原子番号12)が電子を2個失ってイオンになりました。このイオンがもつ陽子の数と電子の数を、それぞれ答えなさい。
- 【問4】塩化カルシウム(CaCl2)が水に溶けて電離するときの式を、イオン式を使って書きなさい。
- 【問5】原子が陽イオンになるとき、電気を帯びるのはなぜか。「陽子」「電子」という言葉を使って説明しなさい。
解答と解説
【問1】答え: 銅イオン、Cu2+
電子を2個失ったので、+が2個分余ります。
だから右上は「2+」で、Cu2+です。
【問2】答え: SO42−
硫酸イオンは、硫黄原子1個と酸素原子4個の集まりで、電子を2個多くもっています。
右下の4は酸素原子の数、右上の2−は電子の増えた数です。
【問3】答え: 陽子12個、電子10個
陽子の数は原子番号と同じで、イオンになっても変わらないので12個です。
もとの電子は12個で、2個失ったので、12−2=10(個)です。
このとき、+が12個、−が10個で、差が2+になり、Mg2+と合います。
【問4】答え: CaCl2 → Ca2+ + 2Cl−
カルシウムは2価の陽イオン(Ca2+)、塩素は1価の陰イオン(Cl−)です。
陰イオンの電荷の合計が2−になるように、Cl−を2個書きます。
右辺の電荷の合計は、2+と2−で0になり、左辺と合います。
【問5】答えの例: 原子は陽子の+と電子の−の数が同じだが、陽イオンになるときは電子を失って、陽子の+の数のほうが多くなるから。
「陽子の数は変わらない」「電子が減る」「+が余る」の3点が入っていれば正解です。
まとめ
- イオン式は、電子の出入りを右上に書いたもの。数字が先、符号があとで、1は省略する
- 電子を失えば陽イオン(+)、受け取れば陰イオン(−)
- 金属は陽イオン、非金属は陰イオンになりやすい(水素は例外で陽イオン)
- 同じ仲間の元素は、同じ価数。Na・Kは1価、Mg・Caは2価
- 原子の集まりのイオンは、水酸化物・硝酸・硫酸・炭酸・アンモニウムの5つを丸暗記
- 電離の式は、左右で原子の数と電荷の合計が同じになる
まずは一覧の表を見ながら、イオン式を紙に書いてみてください。

















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