授業でイオン化傾向を習ったけど、金属の順番も電池の極も、ごちゃごちゃになる…
- マグネシウム・亜鉛・銅の順番が覚えられない
- 電池で、どちらの金属板が−極になるのか分からない
- 金属を水溶液に入れたとき、何が起こるのか予想できない
こういう人に向けて書きました。
結論からいうと、イオン化傾向とは金属が陽イオンになりやすい度合いのことです。
順番はマグネシウム>亜鉛>鉄>銅>銀で、左にある金属ほど陽イオンになりやすくなります。
電池をつくったときは、陽イオンになりやすい金属の板が−極になります。
この記事では、順番の覚え方と、それを使った問題の解き方を説明します。
イオン化傾向とは
イオン化傾向とは、金属が電子を失って陽イオンになるときの、なりやすさのことです。
金属はどれも陽イオンになる性質をもっていますが、そのなりやすさは金属ごとにちがいます。
そのなりやすさを順番に並べたものが、イオン化傾向の順番です。
中学で覚えるのは、次の5つの金属です。

左にあるマグネシウムがいちばん陽イオンになりやすく、右にある銀がいちばんなりにくい金属です。
たとえば、マグネシウムと銅では、マグネシウムのほうが陽イオンになりやすい、ということです。
補足として、アルミニウムはマグネシウムと亜鉛の間に入ります。
アルミニウムまで問われることはあまり多くないので、まずは上の5つを覚えれば十分です。
イオン化傾向の覚え方
順番は頭の音で覚える
順番は、金属の名前の頭の音をつなげて口に出すと覚えやすくなります。
「マ・ア・テ・ドウ・ギン」です。
マグネシウム(マ)、亜鉛(ア)、鉄(テ)、銅(ドウ)、銀(ギン)の順に並んでいます。
これを声に出して3回言ってから、ノートに書いてみてください。
書けたら、左が「陽イオンになりやすい」、右が「なりにくい」と矢印を足しておきます。
電池の極は「なりやすいほうが−極」
順番の次に覚えるのは、電池の極の決め方です。
2種類の金属で電池をつくると、イオン化傾向が大きい(陽イオンになりやすい)ほうが−極、小さいほうが+極になります。
たとえば亜鉛と銅なら、亜鉛のほうが陽イオンになりやすいので、亜鉛板が−極、銅板が+極です。
順番の表で、左にある金属が−極と覚えておけば、迷いません。
金属と水溶液で起こる反応
イオン化傾向は、金属を別の金属の水溶液に入れたときの反応を考えるときにも使います。
例題: 硫酸銅水溶液に亜鉛板を入れる
青色の硫酸銅水溶液に、亜鉛板を入れます。
亜鉛は銅よりも陽イオンになりやすいので、亜鉛の原子が電子を失って、亜鉛イオンになって溶け出します。
Zn → Zn²⁺ + 2e⁻
その電子を、水溶液の中の銅イオンが受けとって、銅の原子になります。
Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu
その結果、亜鉛板の表面に赤茶色の銅が付着します。
銅イオンが減るので、水溶液の青色はだんだんうすくなっていきます。
逆の組み合わせでは何も起こらない
反対に、硫酸亜鉛水溶液に銅板を入れても、変化は起こりません。
銅は亜鉛よりも陽イオンになりにくいので、亜鉛イオンに電子をわたすことができないからです。
組み合わせをまとめると、次のとおりです。
| 金属板 | 水溶液 | 結果 |
|---|---|---|
| 亜鉛板 | 硫酸銅水溶液 | 銅が付着する |
| 銅板 | 硫酸亜鉛水溶液 | 変化なし |
| マグネシウム | 硫酸亜鉛水溶液 | 亜鉛が付着する |
| 鉄 | 硫酸銅水溶液 | 銅が付着する |
| 銅 | 硝酸銀水溶液 | 銀が付着する |
入れた金属板が、水溶液にとけている金属よりも陽イオンになりやすいときだけ、反応が起こります。
電池もイオン化傾向で説明できる
このしくみを使ったのが、ダニエル電池です。

図のように、−極の亜鉛板では、亜鉛が亜鉛イオンになって水溶液に溶け出します。
亜鉛板に残った電子は、導線を通って、+極の銅板へ移動します。
+極の銅板では、水溶液の中の銅イオンが電子を受けとって、銅になって銅板に付着します。
つまり、電池の−極では金属が溶け、+極では何かが付着する(または気体が出る)、という形になります。
うすい塩酸に亜鉛板と銅板を入れた電池なら、−極は亜鉛板で、+極の銅板の表面から水素が出ます。
よくある間違い
間違い① −極と+極を逆にする
「イオン化傾向が大きいほうが+極」と思ってしまう人が毎年います。
正しくは、陽イオンになりやすいほうが−極です。
電子を出していくほうが−極、と結びつけて覚えると、間違えにくくなります。
間違い② 電子の向きと電流の向きを同じにする
電流の向きは、+極から−極へ向かう向きと決められています。
電子は−の電気をもっているので、動く向きは電流とは逆で、−極から+極へ向かいます。
図に「電子」と「電流」の両方の矢印があったら、向きが逆になっているか確かめてください。
間違い③ 銅板が溶けると思う
ダニエル電池で、溶けるのは亜鉛板のほうです。
銅板では、水溶液の中の銅イオンが銅になって付着するので、銅板は溶けずに、むしろ増えていきます。
入試ではこう出る
入試では、2種類の金属板を選んで電池をつくる実験が出題されます。
金属の組み合わせを変えながら電圧を測り、どちらが−極になるかや、電圧が大きくなる組み合わせを答えさせる形です。
次の図は、マグネシウム・亜鉛・鉄の3種類の金属について、2つずつ組み合わせたときの電圧をまとめたものです。

マグネシウムと亜鉛の組み合わせは0.85 V、亜鉛と鉄の組み合わせは0.55 Vで、マグネシウムと鉄の組み合わせは1.4 Vです。
順番の上で離れている金属どうしほど、電圧が大きくなるのが分かります。
0.85 Vと0.55 Vを足すと1.4 Vになるので、数字も順番どおりに並んでいることが確かめられます。
また、図の左にある金属ほど−極になりやすいので、どの組み合わせでも、左にある金属が−極です。
ほかにも、電子オルゴールやモーターにつないで、電流の向きや電子の向きを答えさせる問題がよく出ます。
さらに、「亜鉛板に銅が付着した理由を、イオンという言葉を使って書きなさい」のように、記述で理由を答えさせる問題もあります。
練習問題
問1 マグネシウム、銅、亜鉛を、陽イオンになりやすい順に左から並べなさい。
問2 硫酸銅水溶液に亜鉛板を入れました。
(1) 亜鉛板の表面に付着する物質の名前と色を答えなさい。
(2) 水溶液の青色は、濃くなりますか、うすくなりますか。
問3 うすい塩酸に亜鉛板と銅板を入れて、モーターにつなぎました。
(1) −極はどちらの金属板ですか。
(2) 導線の中を、電子は亜鉛板から銅板、銅板から亜鉛板のどちらの向きに移動しますか。
問4 上の図の数値を使って答えなさい。
マグネシウム板と鉄板で電池をつくったとき、(1) 電圧は何Vになりますか。
(2) −極はどちらの金属板ですか。
問5 硫酸銅水溶液に亜鉛板を入れると、亜鉛板に銅が付着します。
その理由を、「イオンになりやすい」という言葉を使って説明しなさい。
解答と解説
問1の答え
マグネシウム、亜鉛、銅
考え方: 「マ・ア・テ・ドウ・ギン」の順に並べます。
マグネシウム(マ)、亜鉛(ア)、銅(ドウ)の順になります。
問2の答え
(1) 銅、赤茶色 (2) うすくなる
考え方: 亜鉛は銅よりも陽イオンになりやすいので、亜鉛が溶け出して亜鉛イオンになります。
そのとき出た電子を、水溶液中の銅イオンが受けとって、銅の原子になり、亜鉛板に付着します。
式は、Zn → Zn²⁺ + 2e⁻ と、Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu です。
青色の元になっている銅イオンが減るので、水溶液の青色はうすくなります。
問3の答え
(1) 亜鉛板 (2) 亜鉛板から銅板の向き
考え方: 亜鉛は銅よりも陽イオンになりやすいので、亜鉛板が−極になります。
電子は−極から+極へ向かって導線を移動するので、亜鉛板から銅板の向きです。
電流の向きは、これとは逆の銅板から亜鉛板の向きになります。
問4の答え
(1) 1.4 V (2) マグネシウム板
考え方: 図で、マグネシウムと鉄の間に書かれている数値を読みます。
マグネシウムと鉄の電圧は1.4 Vです。
確かめとして、0.85 V + 0.55 V = 1.4 V となり、マグネシウムと亜鉛、亜鉛と鉄の電圧を足した値と一致します。
マグネシウムは鉄よりも陽イオンになりやすいので、マグネシウム板が−極です。
問5の答え
(例)亜鉛は銅よりもイオンになりやすいので、亜鉛原子が電子を失って亜鉛イオンとなって溶け出し、その電子を水溶液中の銅イオンが受けとって、銅原子となって付着するから。
考え方: 書くべき内容は3つです。
- 亜鉛のほうが銅よりもイオンになりやすい
- 亜鉛が電子を失って、亜鉛イオンになる
- その電子を銅イオンが受けとって、銅になる
この3つが入っていれば正解です。
まとめ
- イオン化傾向とは、金属が陽イオンになりやすい度合いのこと
- 順番は「マ・ア・テ・ドウ・ギン」(マグネシウム>亜鉛>鉄>銅>銀)
- 電池では、陽イオンになりやすい金属の板が−極、なりにくい金属の板が+極
- 金属板を水溶液に入れると、板の金属のほうが陽イオンになりやすいときだけ反応が起こる
- 電子は−極から+極へ、電流は+極から−極へ向かう

















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