遺伝子・染色体・DNAの単元で、こんなことに困っていませんか?
- 遺伝子と染色体とDNAが、何がどう違うのか分からない…
- 「遺伝子の本体はDNA」と言われても、ピンとこない…
- 大きさの順に並べる問題で、いつも迷ってしまう…
こういう人に向けて書きました。
結論からいうと、3つは別々のものではなく、入れ物と中身の関係です。
細胞の中に核があり、核の中に染色体があり、染色体にはDNAが含まれていて、DNAの一部分が遺伝子です。
大きい順に並べると、細胞>核>染色体>DNA>遺伝子になります。
遺伝子・染色体・DNAとは
まず、3つの言葉の意味を1つずつ整理します。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 染色体 | 核の中にある、ひも状のもの。酢酸カーミン液などの染色液によく染まる |
| DNA | 染色体に含まれる物質。デオキシリボ核酸という。遺伝子の本体 |
| 遺伝子 | 形質(形や色などの特徴)のもとになるもの。DNAの一部分で、染色体の上にある |
位置関係は、次の図で確かめられます。

図の下は、核の中にある染色体を、取り出して描いたものです。
図のAとaは、染色体の上にある遺伝子を表しています。
遺伝子の記号は、メンデルの法則で出てきたものと同じです。
遺伝子・染色体・DNAの関係と大きさの順
3つの関係は、入れ物と中身で覚えると整理できます。
| 大きい順 | 名前 | どこにあるか |
|---|---|---|
| 1 | 細胞 | 生物のからだをつくる単位 |
| 2 | 核 | 細胞の中にある、丸い部分 |
| 3 | 染色体 | 核の中にある、ひも状のもの |
| 4 | DNA | 染色体に含まれる物質 |
| 5 | 遺伝子 | DNAの一部分。形質のもとになる |
染色体とDNAの関係は、次の図のとおりです。

染色体の中には、DNAが折りたたまれて入っています。
DNAは、2本の鎖がねじれた、二重らせんという形をしています。
なぜ「遺伝子の本体はDNA」というのか
遺伝子は、形質のもとになる情報です。
その情報が、物質として書かれているのがDNAです。
だから、「遺伝子の本体はDNA」といいます。
たとえると、DNAは、情報が書かれた長い紙のようなものです。
その中の、種子の形や花の色など、1つの特徴ぶんが書かれた部分が、遺伝子です。
細胞分裂のとき、染色体はどうなるのか
細胞が分裂するときは、まず染色体が複製されて、同じものが2組になります。
その2組が、2つの細胞に等しく分かれていきます。
だから、分裂でふえた細胞は、もとの細胞と同じ遺伝子をもっています。
生殖細胞をつくるとき、染色体はどうなるのか
体細胞の核には、同じ形の染色体が2本ずつ、対になって入っています。
生殖細胞(卵や精子)をつくるときは、減数分裂が起こり、対の染色体が分かれて、1本ずつ別の生殖細胞に入ります。
受精すると、卵と精子の染色体が合わさり、受精卵の染色体は再び対になります。
こうして、親の遺伝子が、生殖細胞を通して子に受け継がれます。
よくある間違い
間違い1: 遺伝子と染色体を、同じものだと思う
染色体は、遺伝子が乗っている入れ物です。
遺伝子は、その染色体の上にある、一部分です。
間違い2: 遺伝子とDNAを、同じものだと思う
DNAは物質の名前で、遺伝子はDNAの中の、形質のもとになる部分です。
ただし、「遺伝子の本体は何か」と聞かれたら、答えはDNAです。
間違い3: DNAのほうが、染色体より大きいと思う
DNAは染色体の中に含まれているので、染色体のほうが大きいです。
大きさの順は、染色体>DNA>遺伝子です。
間違い4: 生殖細胞の染色体の数は、体細胞と同じだと思う
生殖細胞の染色体は、減数分裂で、体細胞の半分になっています。
受精して、はじめてもとの数に戻ります。
入試ではこう出る
入試では、語句で答える問題と、図で遺伝子の受け渡しを答える問題がよく出ます。
語句で答える問題
「遺伝子の本体である物質は何か」「核の中にあって、染色液に染まるものは何か」のように、名前を答える形です。
ここまでの表の言葉を、そのまま答えられれば解けます。
図で遺伝子の受け渡しを答える問題
次の図のように、雄と雌の染色体から、受精卵ができるまでを問う形です。

図では、雄の体細胞はAA、雌の体細胞はaaです。
減数分裂で、精子はA、卵はaになります。
受精すると、受精卵はAaになります。
体細胞の染色体が2本なら、精子や卵は1本、受精卵は2本です。
染色体の数が、減数分裂で半分になり、受精でもとに戻ることを、図から読み取ります。
DNAを取り出す実験の問題
植物の細胞からDNAを取り出す実験も、出題されます。
細胞をすりつぶして液をこし、冷やしたエタノールを加えると、DNAが白い糸のようなものとして出てきます。
「なぜエタノールを冷やすのか」のような理由まで問われることがあるので、手順だけでなく、何を取り出す実験なのかを押さえておきましょう。
練習問題
問1
核の中にあり、酢酸カーミン液などの染色液によく染まる、ひも状のものを何といいますか。
問2
遺伝子の本体である物質を、アルファベット3文字で答えなさい。
問3
次の4つを、大きいものから順に並べなさい。
遺伝子、染色体、核、細胞
問4
先ほどの図で、雄の体細胞には染色体が2本入っています。
この雄がつくる精子には、染色体が何本入っていますか。
また、受精卵の染色体は何本ですか。
問5
子が親に似た形質をもつのは、なぜですか。
「遺伝子」「受精」という言葉を使って、説明しなさい。
解答と解説
問1の答え: 染色体
核の中にあり、染色液に染まるひも状のものは、染色体です。
染色体の中に、DNAが含まれています。
問2の答え: DNA
遺伝子の本体は、DNA(デオキシリボ核酸)です。
問3の答え: 細胞→核→染色体→遺伝子
細胞の中に核があり、核の中に染色体があり、染色体の上に遺伝子があります。
入れ物から中身へ、と順に考えます。
問4の答え: 精子は1本、受精卵は2本
減数分裂で、対になっている染色体が分かれて、1本ずつ別の生殖細胞に入ります。
だから、精子の染色体は、体細胞(2本)の半分で、1本です。
受精すると、精子の1本と卵の1本が合わさるので、受精卵の染色体は、1+1=2本です。
問5の答え(例)
親の生殖細胞に入っている遺伝子が、受精によって子に受け継がれるから。
答えに入れたいのは、「生殖細胞を通して」「親の遺伝子が」「子に受け継がれる」の3つです。
まとめ
- 染色体は、核の中にある、ひも状のもの。染色液によく染まる
- DNAは、染色体に含まれる物質。遺伝子の本体
- 遺伝子は、DNAの一部分で、形質のもとになる
- 大きい順は、細胞>核>染色体>DNA>遺伝子
- 生殖細胞の染色体は、減数分裂で半分になり、受精でもとに戻る
3つの言葉は、入れ物と中身の関係で整理すれば、混ざらなくなります。



















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