メンデルの法則の単元で、こんなことに困っていませんか?
- AAとかAaとか、記号が何を表しているのか分からない…
- 「丸:しわ=3:1」になる理由を説明できない…
- 顕性とか潜性とか、言葉が多くて混乱する…
こういう人に向けて書きました。
結論からいうと、この単元は『親から子へは、遺伝子が1つずつ渡される』と考えれば解けます。
子はすべて顕性の形質になり、孫では顕性:潜性が3:1になります。
この2つの結果は、遺伝子の記号を書いていけば、必ず自分で説明できます。
メンデルの法則とは
メンデルの法則とは、親の形質(形や色などの特徴)が子や孫にどのように伝わるかを説明した規則性のことです。
19世紀のメンデルが、エンドウを使った実験で見つけました。
中学校で習うのは、このうち『顕性の法則』と『分離の法則』の2つです。
まず、出てくる言葉を整理しておきます。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 形質 | 生物の形や色などの特徴(例: 種子の丸い・しわがある) |
| 対立形質 | どちらか一方しか現れない、対になっている形質(例: 丸としわ) |
| 純系 | 何代かけ合わせても、同じ形質しか現れない系統 |
| 遺伝子 | 形質のもとになるもの。染色体の中にあり、Aやaなどのアルファベット記号で表す |
| 顕性形質 | 対立形質をもつ純系どうしをかけ合わせたとき、子に現れるほうの形質(優性形質ともいう) |
| 潜性形質 | 子には現れず、隠れているほうの形質(劣性形質ともいう) |
以前の教科書では「優性・劣性」と書かれていましたが、いまの教科書では「顕性・潜性」です。
「優れている・劣っている」という意味ではなく、現れるか、隠れるかの違いです。
遺伝子の記号は、顕性の遺伝子を大文字(A)、潜性の遺伝子を小文字(a)で書きます。
エンドウの種子の形でいえば、丸が顕性形質、しわが潜性形質です。
丸い種子の純系は「AA」、しわのある種子の純系は「aa」と表します。
遺伝のしくみ
遺伝子は、親から子へ、必ず1つずつ渡されます。
なぜなら、生殖細胞(卵や精子など)をつくるとき、対になっている遺伝子が分かれて、別々の生殖細胞に入るからです。
この分かれる細胞分裂を減数分裂といい、この規則性を『分離の法則』といいます。
手順1: 純系の親どうしをかけ合わせる(親→子)
丸い種子の純系(AA)と、しわのある種子の純系(aa)をかけ合わせます。
AAの親がつくる生殖細胞は、すべてAです。
aaの親がつくる生殖細胞は、すべてaです。
受精すると、子の遺伝子はAaになります。

Aaの子は、顕性のAをもっているので、種子はすべて丸くなります。
このとき、潜性のaは消えたのではなく、隠れているだけです。
手順2: 子を自家受粉させる(子→孫)
自家受粉とは、同じ個体の花の中で受粉することです。
Aaの子が生殖細胞をつくるとき、AとaはA:a=1:1で分かれます。
卵の側にも精子の側にもAとaがあるので、組み合わせは次の4通りです。
| 精子 A | 精子 a | |
|---|---|---|
| 卵 A | AA(丸) | Aa(丸) |
| 卵 a | Aa(丸) | aa(しわ) |
遺伝子の組み合わせは、AA:Aa:aa=1:2:1になります。
AAとAaはどちらも丸い種子になるので、見た目の比は、丸:しわ=3:1です。
例題: 孫の種子が2000個あるとき、しわの種子は何個?
丸:しわ=3:1なので、全体を3+1=4にわけて考えます。
しわの種子は、全体の4分の1です。
2000×1/4=500より、しわの種子はおよそ500個になります。
丸い種子は、2000−500=1500より、およそ1500個です。
なお、3:1は個数が多いときに近づく比です。
実際の個数がぴったり500個になるとは限りません。
よくある間違い
間違い1: 子で見えなくなったしわの形質は、消えたと思う
子の遺伝子はAaで、潜性のaをもったままです。
子ではAのはたらきで隠れているだけなので、孫でaaの組み合わせができると、しわが再び現れます。
間違い2: AaがAaのまま生殖細胞に入ると思う
生殖細胞に入る遺伝子は、Aかaのどちらかひとつだけです。
Aaという組み合わせは、受精したあとの細胞の遺伝子です。
間違い3: 「3:1」を、4個のうちかならず3個が丸と考える
3:1は、数が多いときに近づく比です。
たとえば4個だけなら、丸が4個ということもありえます。
間違い4: 丸い種子はどれも同じ遺伝子だと思う
孫の丸い種子には、AAとAaの2種類があります。
見た目は同じ丸でも、遺伝子の組み合わせは違います。
入試ではこう出る
入試では、親→子→孫の3世代を1枚の図にした問題がよく出ます。
図には、親の遺伝子の記号と、孫の種子の個数が書かれています。

この図は、孫の種子が丸い種子5474個、しわのある種子1850個という、メンデルが実際に調べた結果の例です。
5474÷1850=約2.96なので、ほぼ3:1になっています。
入試では、たとえば次のような形で問われます。
- 空らんに入る遺伝子の記号を答える(子の遺伝子や、孫の遺伝子の組み合わせ)
- 孫の種子の数の比を、もっとも簡単な整数の比で答える
- 孫の丸い種子のうち、AAの種子とAaの種子の数の比を答える
- 子がすべて丸くなる理由や、孫にしわが現れる理由を、遺伝子の言葉で説明する
どの問題も、手順1と手順2の記号を落ち着いて書けば解けます。
計算問題は、AA:Aa:aa=1:2:1を使うと速いです。
練習問題
丸い種子をつくる純系の遺伝子をAA、しわのある種子をつくる純系の遺伝子をaaとします。
丸が顕性形質です。
問1 AAとaaをかけ合わせてできた子の遺伝子の組み合わせと、種子の形を答えなさい。
問2 問1の子(Aa)が生殖細胞をつくるとき、できる生殖細胞の遺伝子を、すべて答えなさい。
問3 問1の子を自家受粉させて孫をつくりました。
下の図は、そのようすを表したものです。
(1)図の①〜④に入る遺伝子の組み合わせを答えなさい。
(2)孫の種子の、丸:しわの比を、もっとも簡単な整数の比で答えなさい。

問4 孫の丸い種子が1200個あったとき、そのうちAAの種子はおよそ何個と考えられますか。
問5 純系の丸い種子としわのある種子をかけ合わせると、子はすべて丸い種子になりました。
その子を自家受粉させると、孫にはしわのある種子が現れました。
このようになる理由を、「顕性」「遺伝子」という言葉を使って説明しなさい。
解答と解説
問1 答え: 遺伝子はAa、形は丸
AAの親からはA、aaの親からはaが渡されるので、子はAaになります。
Aaは、顕性のAをもつので、種子はすべて丸くなります。
問2 答え: Aとa
Aaの対の遺伝子は、減数分裂で分かれて別々の生殖細胞に入ります。
よって、Aをもつ生殖細胞とaをもつ生殖細胞が、1:1でできます。
問3 答え:(1)① AA ② Aa ③ Aa ④ aa(2)丸:しわ=3:1
図の左右から渡されるAとaを、すべての組み合わせでかけ合わせます。
①はA×AでAA、②と③はAとaでAa、④はa×aでaaです。
AAとAaは丸、aaはしわなので、丸:しわ=(1+2):1=3:1です。
問4 答え: 約400個
孫の遺伝子の比は、AA:Aa:aa=1:2:1です。
丸い種子はAAとAaなので、AA:Aa=1:2です。
AAは丸い種子の3分の1にあたるので、1200×1/3=400より、約400個になります。
問5 答え(例)
子の遺伝子はAaで、顕性の遺伝子Aのはたらきによって丸だけが現れる。
子が生殖細胞をつくるとき、Aとaが分かれるため、受精でaとaが組み合わさる孫ができ、しわのある種子が現れる。
解説: 「顕性の遺伝子Aがあるので丸になる」「Aとaが分かれて、aaの組み合わせができる」の2点が入っていれば正解です。
まとめ
- 顕性の遺伝子を大文字(A)、潜性の遺伝子を小文字(a)で書く
- 生殖細胞には、対の遺伝子のうち1つだけが入る(分離の法則)
- AA×aaの子はすべてAaで、顕性形質(丸)だけが現れる
- Aaの子を自家受粉させると、孫の遺伝子はAA:Aa:aa=1:2:1
- 孫の見た目は、顕性:潜性=3:1(丸:しわ=3:1)
- 孫の丸い種子のうち、AA:Aa=1:2


















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