「相同器官と相似器官の違いがごちゃごちゃになる…」
- 相同器官って何のことか、いまいち分からない…
- ヒトの腕とコウモリの翼が「同じ」と言われても、ピンとこない…
- 進化の証拠として、何を書けばいいのか分からない…
こういう人向けに、この記事で相同器官と進化のつながりを整理します。
結論からいうと、相同器官とは、見た目やはたらきは違っても、もとは同じ器官だったと考えられるものです。
そして、相同器官があることは、それらの生物が共通の祖先から進化してきた証拠になります。
相同器官とは
相同器官(そうどうきかん)とは、はたらきや形は違っていても、もとは同じ器官から変化したと考えられる器官のことです。
下の図は、4種類の動物の前あし(翼)の骨を並べたものです。

カエルの前あし、カメの前あし、ハトの翼、イヌの前あしは、使い方も形もまったく違います。
でも、骨を1本ずつ見ていくと、図の点線でつないだように、同じ位置に同じ種類の骨があります。
肩のほうから、1本の太い骨、2本の骨、手首やゆびの骨、という順番に並んでいるのです。
ヒトの腕、クジラの胸びれ、コウモリの翼も、同じつくりをしています。
歩く、泳ぐ、飛ぶ、物をつかむ。
はたらきは違うのに、骨のつくりは共通です。
これが、相同器官です。
相同器官がなぜ進化の証拠になるのか
はたらきが違うのに、骨の並び方が同じなのは、偶然とは考えにくいです。
そこで、これらの動物は、共通の祖先から、長い時間をかけて少しずつ変化してきたのだと考えられています。
同じ祖先の前あしが、泳ぐのに便利な形、飛ぶのに便利な形、と、くらす場所に合わせて変わっていったということです。
環境に合わせて、長い時間をかけて生物が変わっていくことを、進化といいます。
相同器官と相似器官の違い
相同器官とよく混同されるのが、相似器官(そうじきかん)です。
| 相同器官 | 相似器官 | |
|---|---|---|
| もとの器官 | 同じ | 別々 |
| はたらき・形 | 違っていることが多い | 似ている |
| 例 | ヒトの腕、クジラの胸びれ、コウモリの翼、ハトの翼 | ハトの翼とチョウの翅(はね) |
ハトの翼とチョウの翅は、どちらも飛ぶためのもので、見た目も少し似ています。
でも、ハトの翼は前あしが変化したもので、骨があります。
チョウの翅は、体の外側がのびたもので、骨はありません。
もとが違うので、この2つは相同器官ではなく、相似器官です。
痕跡器官と、進化の証拠
相同器官のほかに、進化の証拠として教科書に出てくるものが2つあります。
1つ目は痕跡器官(こんせききかん)です。
痕跡器官とは、はたらきを失って、小さく残っているだけの器官のことです。
たとえば、クジラには、後ろあしの骨のなごりが体の中に残っています。
クジラの祖先は陸上を歩いていて、そこから水中の生活に変わっていった、と考える手がかりになります。
2つ目は、中間的な生物の化石です。
その代表が始祖鳥(しそちょう)です。

始祖鳥には、鳥類の特徴とは虫類の特徴の両方があります。
| 特徴 | |
|---|---|
| 鳥類に似ている | 羽毛のある翼 |
| は虫類に似ている | 口に歯がある/長い尾の骨がある |
そのため、始祖鳥は、は虫類から鳥類へ進化していく途中の生物だと考えられています。
よくある間違い
① 「はたらきが同じ」なら相同器官だと思ってしまう
相同器官かどうかを決めるのは、はたらきではなく、もとが同じかどうかです。
ハトの翼とチョウの翅は、どちらも飛ぶためのものですが、もとが違うので相似器官です。
逆に、ヒトの腕とクジラの胸びれは、はたらきが全然違いますが、相同器官です。
② 進化を、1匹の生物が変わることだと思ってしまう
進化は、1匹の体が途中で変わることではありません。
世代をいくつも重ねるあいだに、体のつくりが少しずつ変わっていくことです。
記述問題では「何世代もかけて」という言い方が、書けているかどうかの分かれ目になることがあります。
③ 「相同」と「相似」を書きまちがえる
漢字が似ているので、テストでは取り違えがよく起こります。
「同じ」という字が入っている相同器官のほうが、もとが同じと覚えましょう。
入試ではこう出る
入試でよく見るのは、骨のつくりを並べた図から、どの骨がどの骨に対応するかを答えさせる問題です。
下の図は、コウモリの翼、クジラの胸びれ、ヒトの腕の骨を並べたもので、同じ番号の骨は、もとが同じ骨を表しています。

この図から読み取れるのは、次のことです。
- 3種類とも、肩に近いほうに1の骨があり、その先に2と3の骨が並んでいる
- コウモリの翼でも、クジラの胸びれでも、ヒトの腕でも、同じ番号の骨は同じ位置にある
- はたらきは「飛ぶ」「泳ぐ」「物をつかむ」と違っていても、つくりは共通している
ここから、「3つの動物の器官は相同器官で、共通の祖先から進化したと考えられる」と答えるのが、定番の流れです。
もう1つの出題パターンは、「相同器官の組み合わせを選べ」という選択問題です。
このときは、はたらきではなく、骨のつくりが共通しているかで判断します。
練習問題
問1 はたらきや形は違っていても、もとは同じ器官から変化したと考えられる器官を何といいますか。
問2 次のア〜ウのうち、相同器官の関係にある組み合わせを1つ選びなさい。
- ア ハトの翼とチョウの翅
- イ ハトの翼とコウモリの翼
- ウ ヒトの腕とトンボの翅
問3 上の入試の節で見た図(コウモリ・クジラ・ヒト)で、ヒトの腕の「1」と同じ骨は、クジラの胸びれでは図のどの番号ですか。
問4 始祖鳥の特徴のうち、は虫類と共通する特徴を1つ書きなさい。
(始祖鳥の図を見て答えること)
問5 ヒトの腕とクジラの胸びれで、はたらきは違うのに骨のつくりが共通していることは、生物の進化についてどんなことを示していますか。
「祖先」という言葉を使って書きなさい。
解答と解説
問1 相同器官
もとが同じで、はたらきや形が違う器官が相同器官です。
もとが違うのに、はたらきや形が似ている器官は、相似器官です。
問2 イ
ハトの翼もコウモリの翼も、前あしが変化したものなので、相同器官です。
アのチョウの翅と、ウのトンボの翅は、骨のある前あしではなく、体の外側がのびたものなので、相同器官ではありません。
問3 1
同じ番号の骨は、もとが同じ骨を表しています。
ヒトの1と同じ骨は、クジラの図でも1の骨です。
問4 口に歯がある(または、長い尾の骨がある)
どれか1つ書ければ正解です。
羽毛のある翼は、鳥類と共通する特徴なので、ここには書きません。
問5 (例)ヒトとクジラが、共通の祖先から進化してきたことを示している。
考え方は、次の順に書くと整理できます。
- はたらきは違っても、骨のつくりが共通している(=相同器官)
- だから、もとは同じ器官だったと考えられる
- つまり、共通の祖先から進化したと考えられる
- 相同器官は、はたらきや形が違っても、もとが同じ器官(例: ヒトの腕、クジラの胸びれ、コウモリの翼)
- 相似器官は、はたらきや形が似ているが、もとは別の器官(例: ハトの翼とチョウの翅)
- 相同器官があることは、生物が共通の祖先から進化した証拠になる
- ほかの証拠として、はたらきを失った痕跡器官や、始祖鳥のような中間的な生物の化石がある
- 決め手は「はたらき」ではなく「もとが同じかどうか」
遺伝の規則性については、こちらの記事で解説しています。

















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