- 寒冷前線と温暖前線、どっちがどっちか分からなくなる…
- 雨の降り方や雲の違いが、ごちゃごちゃになる…
- 前線が通ったあとの気温や風向を聞かれると、手が止まる…
こういう人に向けて、寒冷前線と温暖前線の違いを書きました。
結論からいうと、2つの前線の違いは「どちらの空気が、どちらの空気に向かって進むか」の1点で決まります。
寒冷前線は、冷たい空気(寒気)が暖かい空気(暖気)の下にもぐりこむ前線です。
温暖前線は、暖かい空気が冷たい空気の上にはい上がっていく前線です。
この2つの動きさえ押さえれば、雲・雨・気温・風向は全部そこから説明できます。
前線とは
冷たい空気のかたまりと、暖かい空気のかたまりは、すぐには混ざりません。
この性質の違う空気のかたまりを、気団といいます。
2つの気団がぶつかる境目を前線面といい、前線面が地面と交わる線を前線といいます。
前線の近くでは、暖かい空気が冷たい空気の上に押し上げられるので、雲ができて雨が降りやすくなります。
寒冷前線と温暖前線の記号
天気図では、前線は線と記号で表します。
寒冷前線は三角形(▲)が並んだ線、温暖前線は半円(●)が並んだ線です。
記号が出ている側が、前線の進む向きです。
下の図は、2つの前線を立体で描いたものです。

寒冷前線と温暖前線のしくみ
まず、2つの前線の断面を並べて見てみましょう。

寒冷前線: 寒気が暖気の下にもぐりこむ
寒冷前線では、冷たい空気が暖かい空気に向かって進みます。
冷たい空気は重いので、暖かい空気の下にもぐりこみ、暖かい空気を急にもち上げます。
そのため前線面の傾きは急で、もち上げられた暖かい空気から、縦に高くのびる積乱雲ができます。
雨はせまい範囲に、短い時間、強く降ります。
雷や突風をともなうこともあります。
温暖前線: 暖気が寒気の上にはい上がる
温暖前線では、暖かい空気が冷たい空気に向かって進みます。
暖かい空気は軽いので、冷たい空気の上をゆるやかにはい上がっていきます。
そのため前線面の傾きはゆるやかで、空一面に広がる乱層雲(層状の雲)ができます。
雨は広い範囲に、長い時間、弱く降り続きます。
2つの前線の違いをまとめた表
| 寒冷前線 | 温暖前線 | |
|---|---|---|
| 空気の動き | 寒気が暖気の下にもぐりこむ | 暖気が寒気の上にはい上がる |
| 前線面の傾き | 急 | ゆるやか |
| できる雲 | 積乱雲 | 乱層雲 |
| 雨の降り方 | せまい範囲に、強い雨が短い時間 | 広い範囲に、弱い雨が長い時間 |
| 前線の記号 | 三角形(▲) | 半円(●) |
| 通過後の気温 | 下がる | 上がる |
| 通過後の風向 | 南寄りから北寄りに変わる | 東寄りや南東寄りから南寄りに変わる |
前線が通ると、気温と風向が変わる
前線が通ると、その場所の空気が入れかわります。
寒冷前線が通ると、それまでの暖かい空気から冷たい空気に入れかわるので、気温が急に下がります。
このとき風向は、南寄りから北寄りに変わります。
温暖前線が通ると、冷たい空気から暖かい空気に入れかわるので、気温が上がります。
このとき風向は、東寄りや南東寄りから南寄りに変わります。
「寒冷前線が通ったら気温が下がる」と、前線の名前どおりに覚えれば、もう片方も決まります。
日本付近では、温帯低気圧の2本の前線として現れる
春や秋の日本付近では、温帯低気圧の中心から、南東側に温暖前線、南西側に寒冷前線がのびます。
寒冷前線のほうが進む速さが速いので、あとから温暖前線に追いつきます。
追いついた前線を閉そく前線といいます。
閉そく前線は高校の範囲まで学ぶ話なので、中学では「追いつくことがある」と知っておけば十分です。
よくある間違い
間違い1: 寒冷前線と温暖前線の記号を逆に覚える
三角形と半円は、見た目だけで覚えようとすると、テストで必ず入れかわります。
「寒い」は「とがっている」と結びつけて、寒冷前線は三角形(▲)と覚えましょう。
残った半円(●)が温暖前線です。
間違い2: 雲と雨の降り方を逆に覚える
「寒冷前線は雨が長く降り続く」と書いてしまう人が毎年います。
丸暗記ではなく、「冷たい空気が下にもぐって、暖かい空気を急にもち上げる」という動きから考えましょう。
急にもち上げられるから、雲は縦に高くのびて、雨は強く短くなります。
間違い3: 通過前と通過後を取り違える
気温や風向を聞かれたとき、前線が通る前の様子を答えてしまう人がいます。
問題文が「前線が通過したあと」なのか「通過する前」なのかに、先に線を引いておきましょう。
入試ではこう出る
入試では、前線の断面を描いた図を見て、次のような形で問われます。
1つ目は、図のA・Bから寒冷前線または温暖前線を選ぶ問題です。
空気の動きの矢印や、雲の形、雨が降る範囲の広さを手がかりにします。
2つ目は、前線の通過前後の気温・風向・天気の変化を答える問題です。
3つ目は、「寒冷前線の近くで強い雨が降るのはなぜか」を説明する記述問題です。

この図のように、寒冷前線では縦に高い雲と強い雨、温暖前線では横に広がる雲とおだやかな雨が描かれます。
図が出たら、名前だけでなく、雲の形と矢印の向きを自分で見て判断しましょう。
練習問題
問1
寒冷前線の記号は、三角形(▲)と半円(●)のどちらですか。
問2
次のア〜エのうち、温暖前線について正しいものをすべて選びなさい。
- ア 暖かい空気が冷たい空気の上にはい上がる
- イ 前線面の傾きが急である
- ウ 乱層雲ができて、広い範囲に雨が降る
- エ 通過すると気温が下がる
問3
積乱雲ができて、せまい範囲に強い雨が短い時間降るのは、寒冷前線と温暖前線のどちらの近くですか。
問4
ある地点で、南寄りの風が吹いていたが、前線が通過したあと風向が北寄りに変わり、気温が下がった。
この地点を通過した前線は、寒冷前線と温暖前線のどちらですか。
問5
寒冷前線の近くで強い雨が降りやすいのはなぜですか。
「寒気」「暖気」という言葉を使って、簡単に説明しなさい。
解答と解説
問1の答え
答え: 三角形(▲)
考え方: 寒冷前線は三角形、温暖前線は半円の記号で表します。
問2の答え
答え: ア・ウ
考え方: 温暖前線は暖気が寒気の上にゆるやかにはい上がるので、アは正しいです。
前線面の傾きはゆるやかなので、イは誤りです。
乱層雲ができて広い範囲に雨が降るので、ウは正しいです。
温暖前線が通ると気温は上がるので、エは誤りです。
問3の答え
答え: 寒冷前線
考え方: 積乱雲ができて、せまい範囲に強い雨が短い時間降るのは寒冷前線の特徴です。
温暖前線では乱層雲ができて、広い範囲に弱い雨が長く降ります。
問4の答え
答え: 寒冷前線
考え方: 風向が南寄りから北寄りに変わり、気温が下がるのは、冷たい空気に入れかわったときです。
冷たい空気が進んでくる前線なので、寒冷前線です。
温暖前線なら、気温は上がります。
問5の答え
答え(例): 寒気が暖気の下にもぐりこんで、暖気を急にもち上げるので、積乱雲ができるから。
考え方: 「寒気が暖気の下にもぐりこむ」「暖気を急にもち上げる」の2つが書けていれば、採点の中心はおさえられています。
雲のでき方を、「積乱雲ができる」と最後まで書ききるのがポイントです。
まとめ
- 寒冷前線は、寒気が暖気の下にもぐりこむ。記号は三角形(▲)。積乱雲ができて、せまい範囲に強い雨が短い時間降る。通過後は気温が下がり、風向は北寄りになる。
- 温暖前線は、暖気が寒気の上にはい上がる。記号は半円(●)。乱層雲ができて、広い範囲に弱い雨が長く降る。通過後は気温が上がり、風向は南寄りになる。
- 迷ったら、「どちらの空気が、どちらの空気に向かって進むか」に戻って考える。
天気記号や風向の読み方に自信がない人は、こちらの記事から読んでみてください。


















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