電流のまわりにできる磁界の問題で、こんなふうに感じることはありませんか。
- 右ねじの法則と右手の法則の、どちらを使えばいいか分からなくなる
- 磁界の向きを答える問題で、向きを逆にしてしまう
- コイルの問題で、親指が電流の向きなのか磁界の向きなのか迷う
こういう人は少なくないと思います。
結論からいうと、導線のまわりの磁界の向きは「右ねじの進む向き=電流の向き」のとき「右ねじを回す向き=磁界の向き」で決まります。
コイルの中の磁界の向きは、右手の4本の指を電流の向きに合わせたとき、親指が指す向きです。
この記事では、この2つの使い分けと、入試での出され方、練習問題までをまとめます。
電流がつくる磁界とは
導線に電流を流すと、そのまわりに磁界ができます。
磁界とは、磁石や電流が、まわりの空間につくる「磁力のはたらく場所」のことです。
磁界の中に方位磁針を置くと、針のN極が指す向きが、その場所の磁界の向きです。
つまり、磁界の向きは「方位磁針のN極が向く向き」と決まっています。
S極の向きではないので、ここは最初に覚えておきましょう。
まっすぐな導線のまわりの磁界は、導線を中心にした同心円の形になります。
磁界の強さは、導線に近いほど強く、電流が大きいほど強くなります。
導線のまわりの磁界の向き(右ねじの法則)
電流の向きと磁界の向きの関係は、右ねじで覚えます。
- 右ねじが進む向き = 電流の向き
- 右ねじを回す向き = 磁界の向き
図のように、導線を右ねじの軸に見立てます。

電流が下向きに流れているなら、右ねじを下に進めるように回す向きが磁界の向きです。
上から見ると、時計回りの向きになります。
電流の向きを逆にすると、磁界の向きも逆になる
電流の向きを逆にすると、磁界の向きも逆になります。
下向きの電流なら上から見て時計回り、上向きの電流なら上から見て反時計回りです。

図の1と2は、電流の向きだけを逆にしたものです。
同心円の形は同じで、矢印の向きだけが逆になっています。
コイルのまわりの磁界の向き(右手の法則)
導線を何回も巻いたものがコイルです。
コイルに電流を流すと、コイルの内側と外側に磁界ができます。
そのようすは、棒磁石のまわりの磁界とよく似ています。
コイルの磁界の向きは、右手で決めます。
- 右手の4本の指を、電流の向きに合わせてコイルをにぎる
- そのとき親指が指す向きが、コイルの内側の磁界の向き

親指の向く側がコイルのN極になり、反対側がS極になります。
電流の向きを逆にすると、磁界の向きも逆になり、N極とS極が入れ替わります。
コイルの巻く向きを逆にしても、同じように磁界の向きは逆になります。
磁界を強くするには
コイルの磁界は、次のようにすると強くなります。
- 流す電流を大きくする
- コイルの巻数を多くする
- コイルの中に鉄心を入れる
ただし、強くなるのは磁界の「強さ」だけで、磁界の「向き」は変わりません。
よくある間違い
間違い① 右ねじの「進む向き」と「回す向き」を取り違える
導線の場合、右ねじが進む向きは電流の向きです。
磁界の向きは、回す向きのほうです。
「進む=電流、回る=磁界」と、セットで声に出して覚えましょう。
間違い② コイルで、親指を電流の向きにしてしまう
導線のときは「電流の向きに親指を合わせる」と覚えている人がいます。
コイルでは逆で、4本の指が電流の向き、親指が磁界の向きです。
導線の右ねじとコイルの右手では、電流と磁界の役割が入れ替わるので、問題を見たらまず「導線かコイルか」を確認しましょう。
間違い③ 磁界の向きを、方位磁針のS極で読む
磁界の向きは、方位磁針のN極が指す向きです。
図で針の黒い側が何極か分からなくなったら、問題文の「N極」の表示を探しましょう。
入試ではこう出る
入試では、次のような形で問われます。
- 導線のまわりに置いた複数の方位磁針について、針の向きを選ぶ
- 電流の向きを逆にしたとき、針の向きや磁界の向きがどう変わるかを答える
- コイルに電流を流したときの、コイルの内側や外側の方位磁針の向きを選ぶ
- 電流を大きくしたときの、磁針の振れ方や磁界の強さの変化を答える
どれも、右ねじの法則と右手の法則を使えば解けます。
解くときの手順は、次の3つです。
- 導線かコイルかを確認する
- 電流の向きを図から読み取る
- 右ねじ(導線)か右手(コイル)で磁界の向きを決め、針のN極をその向きにそろえる
図は、電流を逆にしたときの磁界の変化を見るときに使えます。
実際の問題では、方位磁針が図の中に何個も置かれ、針をかく問題として出ることも多いです。
練習問題
方位は、上から見たときに北が上、東が右の向きで考えます。
地磁気の影響は考えないものとします。
問1(基本)
まっすぐな導線に、上から下向きに電流を流しました。
導線のまわりの磁界の向きは、真上から見て時計回りと反時計回りのどちらですか。
問2(基本)
導線に流す電流の向きを逆にすると、導線のまわりの磁界の向きはどうなりますか。
問3(入試レベル)
まっすぐな導線に、下から上向きに電流を流しました。
導線の真北に方位磁針を置いたとき、針のN極は東西南北のどちらを向きますか。
問4(入試レベル)
コイルを真上から見て、コイルに時計回りに電流が流れています。
コイルの内側の磁界は、上向きと下向きのどちらですか。
問5(記述)
導線の真東に置いた方位磁針のN極が、ある向きに振れました。
導線を流れる電流の向きを逆にすると、針のN極の向きはどうなりますか。
理由もあわせて書きなさい。
解答と解説
問1の答え: 時計回り
右ねじが下に進む向きは、電流の向き(下向き)です。
そのとき右ねじを回す向きが磁界の向きです。
下に進む右ねじは、上から見て時計回りに回すので、磁界は時計回りです。
問2の答え: 逆向きになる
電流の向きと磁界の向きは、右ねじの関係で決まっています。
電流の向きを逆にすれば、磁界の向きも逆になります。
問3の答え: 西
電流が上向きなので、右ねじは上に進みます。
上に進む右ねじは、上から見て反時計回りに回すので、磁界は反時計回りです。
反時計回りの円で、真北の位置では、磁界は西向きに進みます。
針のN極は磁界の向きを指すので、西を向きます。
問4の答え: 下向き
右手の4本の指を、電流の向き(上から見て時計回り)に合わせてコイルをにぎります。
すると、親指は下を向きます。
親指の向きが磁界の向きなので、コイルの内側の磁界は下向きです。
問5の答え(例)
N極の向きは、逆向き(もとの向きから180度反対)になる。
理由: 電流の向きを逆にすると、導線のまわりの磁界の向きが逆になり、N極は磁界の向きを指すから。
まとめ
- 磁界の向きは、方位磁針のN極が指す向き
- 導線のまわり: 右ねじが進む向き=電流の向き、右ねじを回す向き=磁界の向き
- コイル: 右手の4本の指を電流の向きに合わせると、親指が磁界の向き
- 電流の向きを逆にすると、磁界の向きも逆になる
- 電流を大きくするほど、磁界は強くなる


















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