展開因数分解の式の値の応用【対称式と交代式】【中3数学】

山田ゆうすけ

こんにちは!
高校受験ラボ・進学塾リードアップ[旧Makeage]運営者の山田優輔です!
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問題1

\( x + y = 4 \),\( xy = -2 \) のとき、次の式の値を求めなさい。

 (1) \( x^2 + y^2 \)
 (2) \( x^2 + 3xy + y^2 \)
 (3) \( (x-y)^2 \)

中3数学の「展開・因数分解」の単元で、上のような問題があります。

この手の問題を、数学では対称式の問題と呼びます。

この記事では、この対称式の問題の解き方」を超わかりやすく解説します

実は、対称式の問題は解き方を知っておかなければ解けません!

ということで、この記事で対称式の問題の解き方を知って、身に付けてください^ ^

「対称式?聞いたことないし、学校でも習ってないぞ!?」

と思うかもしれませんが、しっかり説明していくので安心してくださいね。

それではいきましょう!

高校の数学Ⅰでも対称式の問題が出てきますが、ここでは中3生向けの解き方を解説します。

対称式と基本対称式の知識をまずは持つ

まずは対称式」「基本対称式という用語の知識を持つ必要があります。

対称式・交代式とは?

対称式とは、「\( x \),\( y \) を入れ替えても、元の式とまったく同じになる式」のことです。

例えば

「\( x+y \)」の〝\( x \)〟と〝\( y \)〟を入れ替えたら、「\( y+x \)」になりますね。

これらの「\( x+y \)」と「\( y+x \)」という式は、

 \( x+y = y+x \)

なので、まったく同じものですね!

したがって、「\( x+y \)」は対称式であるといえます。

(同様に「\( y+x \)」も対称式であるといえます。)

逆に、「\( 2x+y \)」の〝\( x \)〟と〝\( y \)〟を入れ替えたら、「\( 2y+x \)」になります。

これらの式はイコールではないですね?

\( 2x+y \neq 2y+x \) ですので。

したがって、「\( 2x+y \)」は対称式ではないです。

(同様に「\( 2y+x \)」も対称式ではないです。)

その他にも対称式の例を挙げておきます。

対称式の例
  • \( x+y \)
  • \( xy \)
  • \( x^2 + y^2 \)
  • \( x^3 + y^3 \)
  • \( x^2 y + xy^2 \)
  • \( x^2 + xy + y^2 \)
  • \( x^2 – 2xy + y^2 \)
  • \( \displaystyle \frac{1}{x} + \frac{1}{y} \)

 e.t.c..

補足

「\( x \),\( y \) を入れ替えると、元の式のー1倍になる式」を交代式といいます。

【例】
・\( x-y \)
 (⇒入れ替えると \( y-x \) になり、元の式の-1倍)

・\( x^2 – y^2 \)
 (⇒入れ替えると \( y^2 – x^2 \) になり、元の式の-1倍)

基本対称式とは?

続いて基本対称式についてです。

基本対称式とは、「特別な対称式」のことを指します

具体的には、次の2つの式です。

基本対称式(2変数 \( x \),\( y \) の場合)
  • \( x+y \)
  • \( xy \)

なぜこの2つの式を「基本対称式」というのかというと、「すべての対称式のもととなる式だから」です。

「もととなる式ってどういう意味?」というのは、次で説明します!

対称式はすべて基本対称式で表せる!

すべての対称式は、基本対称式で表すことができます

つまり、「対称式は基本対称式だけの式に変形できる」ということです。

ココが今回の超重要ポイントです!

例えば、対称式「\( x^2 + y^2 \)」は次のように表すことができます。

\( (x+y)^2 = x^2 + 2xy + y^2 \) より、

両辺を入れ替えて \( 2xy \) を移行すると

 \( x^2 + y^2 = (x+y)^2 – 2xy \)

このように、対称式「\( x^2 + y^2 \)」は、基本対称式「\( x+y \)」「\( xy \)」だけを使った式で表すことができます。

前置きが長くなりましたが、これが対称式の基本知識です。

これを踏まえて、本題の「対称式の問題の解き方」に入りましょう!

式の値の対称式の問題の解き方

式の値の対称式の問題は

\( \large \displaystyle \color{red}{ 与式 = (x+y)^2 \pm ●xy } \)

という式変形をします。

補足①

『与式』とは、問題で与えられた式のことです。例えば「\( x^2 + y^2 \) の値を求めなさい」という問題なら、与式は「\( x^2 + y^2 \)」となります。

補足②

右辺の「\( (x+y)^2 \pm xy \)」は、問題文で値を与えられた式で変わることもあります。ピンとこないかもしれませんが、この後解説するので、まずは最後まで読んでみてください。

\( \displaystyle 与式 = (x+y)^2 \pm ●xy \)

という式変形をする前提で、次の手順で解きます。

式の値の対称式の問題の解き方手順
  1. \( \displaystyle 与式 = (x+y)^2 \pm ●xy \) と置く
  2. 両辺が同じ式になるように、±●に入る値(\( xy \) の係数)を考えて、与式を変形する
  3. ②で変形した式に、問題文で与えられた「\( x+y \)」と「\( xy \)」の値を代入して計算する

具体的に問題でやってみせますね!

式の値の対称式の練習問題と解き方

冒頭で紹介した問題と合わせて、2問やっていきます。

問題1

問題1

\( x + y = 4 \),\( xy = -2 \) のとき、次の式の値を求めなさい。

 (1) \( x^2 + y^2 \)
 (2) \( x^2 + 3xy + y^2 \)
 (3) \( (x-y)^2 \)

先ほどの手順通りにやっていきますよ!

(1) \( x^2 + y^2 \) の解答・解説

【手順①】

まず

\( \displaystyle x^2 + y^2 = (x+y)^2 \pm ●xy \)

と置きます。

【手順②】

①で置いた式の右辺の「\( (x+y)^2 \)」を展開すると

\( (x+y)^2 = x^2 + 2xy + y^2 \)

です。

改めて①で置いた式を、右辺の「\( (x+y)^2 \)」展開した形で書き直すと

\( x^2 + y^2 = x^2 + 2xy + y^2 \pm ●xy \)

ここで「この式の左辺と右辺が等しくなるには±●(\( xy \) の係数)に何が入るか?」考えると・・・

「\( -2 \)」ですね!

よって

\( \begin{align}
\displaystyle & x^2 + y^2 = (x+y)^2 \pm ●xy \\
\\
\Rightarrow \ & \color{red}{ x^2 + y^2 = (x+y)^2 – 2xy }
\end{align} \)

と式変形ができました。

【手順③】

あとは「\( x+y = 4 \)」と「\( xy = -2 \)」を代入して、計算してあげれば終了です。

\( \begin{align}
\color{red}{ x^2 + y^2 } & = (x+y)^2 – 2xy \\
\\
& = 4^2 – 2 \times (-2) \\
\\
& = 16 + 4 \\
\\
& \color{red}{ = 20 \cdots 【答】 }
\end{align} \)

もしわからなくても、数問見ていけば理解できるのでまずは読み進めてくださいね!

続いて(2)もやっていきます。

(2) \( x^2 + 3xy + y^2 \) の解答・解説

【手順①】

\( \displaystyle x^2 + y^2 = (x+y)^2 \pm ●xy \)

と置く。

【手順②】

先ほどと同じように、①で置いた式の右辺の「\( (x+y)^2 \)」を展開して、書き直すと

\( x^2 + 3xy + y^2 = x^2 + 2xy + y^2 \pm ●xy \)

「この式の左辺と右辺が等しくなるには±●(\( xy \) の係数)に何が入るか?」考えると・・・

「\( +1 \)」ですね!

よって

\( \begin{align}
\displaystyle & x^2 + 3xy + y^2 = (x+y)^2 \pm ●xy \\
\\
\Rightarrow \ & \color{red}{ x^2 + 3xy + y^2 = (x+y)^2 + xy }
\end{align} \)

と式変形ができました。

【手順③】

あとは「\( x+y = 4 \)」と「\( xy = -2 \)」を代入して、計算してあげれば終了です。

\( \begin{align}
\color{red}{ x^2 + 3xy + y^2 } & = (x+y)^2 + xy \\
\\
& = 4^2 + (-2) \\
\\
& = 16 – 2 \\
\\
& \color{red}{ = 14 \cdots 【答】 }
\end{align} \)

どうでしょう?少しわかってきましたか?

このまま(3)もいきます。

(3)は最初にワンクッションやることが増えますが、やり方は全く同じです。

(3) \( (x-y)^2 \) の解答・解説

【手順①】

まず与式を展開します。

\( (x-y)^2 = x^2 – 2xy + y^2 \)

あとはさっきと同様の流れです。

\( \displaystyle x^2 – 2xy + y^2 = (x+y)^2 \pm ●xy \)

と置く。

【手順②】

「この式の左辺と右辺が等しくなるには±●(\( xy \) の係数)に何が入るか?」考えると・・・

「\( -4 \)」ですね!

よって

\( \begin{align}
\displaystyle & x^2 – 2xy + y^2 = (x+y)^2 \pm ●xy \\
\\
\Rightarrow \ & \color{red}{ x^2 – 2xy + y^2 = (x+y)^2 – 4xy }
\end{align} \)

と式変形ができました。

【手順③】

あとは代入して計算です。

\( \begin{align}
\color{red}{ (x-y)^2 } & = x^2 – 2xy + y^2 \\
\\
& = (x+y)^2 – 4xy \\
\\
& = 4^2 – 4 \times (-2) \\
\\
& = 16 + 8 \\
\\
& \color{red}{ = 24 \cdots 【答】 }
\end{align} \)

問題2

今度は交代式バージョンをやってみましょう。

これのやり方も覚えてマスターすれば、入試レベルも一瞬で解けるようになります。

問題2

\( x – y = 5 \),\( xy = -3 \) のとき、次の式の値を求めなさい。

 (1) \( x^2 + y^2 \)
 (2) \( x^2 – 6xy + y^2 \)
 (3) \( (x + y)^2 \)

問題2は、問題文で「\( x-y \)」「\( xy \)」の値が与えられているので、この2つの式を使って与式を変形します。

(1) \( x^2 + y^2 \) の解答・解説

【手順①】

まず

\( \displaystyle x^2 + y^2 = (x-y)^2 \pm ●xy \)

と置きます。

【手順②】

①で置いた式の右辺の「\( (x-y)^2 \)」を展開すると

\( (x+y)^2 = x^2 – 2xy + y^2 \)

です。

改めて①で置いた式を、右辺の「\( (x-y)^2 \)」展開した形で書き直すと

\( x^2 + y^2 = x^2 – 2xy + y^2 \pm ●xy \)

ここで「この式の左辺と右辺が等しくなるには±●(\( xy \) の係数)に何が入るか?」考えると・・・

「\( +2 \)」ですね!

よって

\( \begin{align}
\displaystyle & x^2 + y^2 = (x-y)^2 \pm ●xy \\
\\
\Rightarrow \ & \color{red}{ x^2 + y^2 = (x-y)^2 + 2xy }
\end{align} \)

と式変形ができました。

【手順③】

あとは「\( x-y = 5 \)」と「\( xy = -3 \)」を代入して、計算してあげれば終了です。

\( \begin{align}
\color{red}{ x^2 + y^2 } & = (x-y)^2 + 2xy \\
\\
& = 5^2 + 2 \times (-3) \\
\\
& = 25 – 6 \\
\\
& \color{red}{ = 19 \cdots 【答】 }
\end{align} \)

(2)、(3)はスピードアップして手順①②を一気にやって解いていきます。

(2) \( x^2 – 6xy + y^2 \) の解答・解説

【手順①・②】

\( x^2 – 6xy + y^2 = (x-y)^2 \color{red}{ – 4 }xy \)

と式変形できます。

【手順③】

\( \begin{align}
\color{red}{x^2 – 6xy + y^2 } & = (x-y)^2 – 4xy \\
\\
& = 5^2 – 4 \times (-3) \\
\\
& = 25 + 12 \\
\\
& \color{red}{ = 37 \cdots 【答】 }
\end{align} \)

(3)は、まずは与式を展開してから式変形を考えます。

(3) \( (x + y)^2 \) の解答・解説

【手順①・②】

与式を展開すると

\( (x + y)^2 = x^2 + 2xy + y^2 \)

よって

\( x^2 + 2xy + y^2 = (x-y)^2 \color{red}{ + 4 }xy \)

と式変形ができる。

【手順③】

\( \begin{align}
\color{red}{ (x + y)^2 } & = x^2 + 2xy + y^2 \\
\\
& = (x-y)^2 + 4xy \\
\\
& = 5^2 + 4 \times (-3) \\
\\
& = 25 – 12 \\
\\
& \color{red}{ = 13 \cdots 【答】 }
\end{align} \)

式の値の対称式の問題の解き方まとめ

さいごに今回の重要事項をまとめます。

式の値の対称式の問題の解き方まとめ

すべての対称式は、基本対称式だけの式に変形できる!
(以下は今回の問題で出てきた一例です。)

  • \( x^2 + y^2 = (x+y)^2 – 2xy \)
  • \( x^2 + 3xy + y^2 = (x+y)^2 + xy \)
  • \( (x-y)^2 = (x+y)^2 – 4xy \)
  • \( x^2 + y^2 = (x-y)^2 + 2xy \)
  • \( x^2 – 6xy + y^2 = (x-y)^2 – 4xy \)
  • \( (x+y)^2 = (x-y)^2 + 4xy \)

以上が式の値の対称式の問題の解き方すべてです。

今回の対称式の問題は入試でもよく出る問題なので、ぜひマスターしておきましょう!

2件のコメント

「a+b=5,ab=6のとき、a-bの値を求めよ。ただし、a>bとする」という問題の場合は、どう解けば良いですか?

こぐまさん
コメントいただきありがとうございます♪

テキストで分かりづらいかもしれませんが、解説書きますね!

*****ココから*****

(a-b)^2 = (a+b)^2 – 4ab
= 5^2 – 4×6
=25-24
=1
よって、a-b=±1
(※ここは平方根の考え方です。)

ここで、a>bより、a-b>0
(※bを左辺に以降しました)

よって、a-b=1【解】

*****ココまで*****

おっけいですかね?

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■千葉市の検見川浜・稲毛海岸でリードアップ@本当に成績が上がる塾を経営 ■偏差値60から70にアップも高校受験不合格 ■指定校推薦で中央大学理工学部合格 ■生徒の成績10年連続10UP継続中 ■成績アップメディア「高校受験ラボ」を運営