私立高校の倍率15.93倍は本当か|志願倍率と実質倍率の違い

こんにちは! 高校受験ラボ・進学塾リードアップ代表の山田優輔です!

千葉県の私立高校を調べていて、放っておけない数字に行き当たりました。同じ高校の同じ入試なのに、倍率が15.93倍とも2.23倍とも言えるのです。どちらも嘘ではありません。数え方が違うだけです。

この違いを知らないまま私立の倍率を見ると、受けられる高校を自分から外してしまいます。塾で毎年説明していることなので、ここに書いておきます。

昭和学院秀英の「15.93倍」と「2.23倍」

令和8年度入試の昭和学院秀英高等学校です。まず千葉県が公表している数字から。

募集人員80人
志願者数1,274人
千葉県公表の倍率15.93倍

16人に1人しか受からない、と読めます。ところが学校自身が公表している数字は違います。

受験者数1,269人
合格者数569人
実質倍率2.23倍

1,269人が受けて569人が受かっています。16人に1人ではなく、2人に1人近くが合格しています。

なぜこれほど差がつくのか

理由は2つあります。

1 県の数字は「募集人員」で割っている

15.93倍は、志願者数1,274人を募集人員80人で割った数です。この80人は、その入試で入学する予定の人数です。しかし実際には569人が合格しています。私立高校は、入学を辞退する受験生を見込んで多めに合格を出すためです。

公立高校では募集人員と合格者数がほぼ一致するので、「志願者÷募集人員」が実感に近い数字になります。私立では、この前提が成り立ちません。

2 同じ受験生が何校も出願している

私立入試は、公立の前に複数校を受けられます。1人の受験生が3校に出願すれば、3校それぞれの志願者数に1人ずつ数えられます。志願者数はのべ人数で、実際に来る人数ではありません。

さらに県の一覧は「途中集計値」です。集計した日にはまだ願書の受付が終わっていない学校も含まれます。

では何を見ればいいのか

受験者数と合格者数、この2つです。受験者数を合格者数で割った数を実質倍率と呼びます。実際に受けた人のうち何人が受かったかを表すので、これが実感に一番近い数字です。

たとえば専修大学松戸高等学校は、7年分を公表しています。

年度受験者数合格者数実質倍率
令和2年度2,456人1,088人2.26倍
令和3年度2,799人1,185人2.36倍
令和4年度3,215人1,135人2.83倍
令和5年度3,007人1,049人2.87倍
令和6年度3,006人1,015人2.96倍
令和7年度2,683人937人2.86倍
令和8年度2,845人927人3.07倍

受験者数はほぼ横ばいなのに、合格者数が1,088人から927人へ減っています。7年かけて倍率が上がってきたことが、この表から読み取れます。1年分の数字だけでは見えない動きです。

推薦と一般で、まったく違う

もうひとつ、私立で見落としやすいのが受験の区分です。日出学園高等学校の令和7年度入試を見てください。

区分受験者数合格者数実質倍率
推薦174人174人1.0倍
一般(特進コース)15人8人1.88倍
一般(進学コース)27人16人1.69倍

推薦は174人全員が合格しています。一方で一般入試は1.88倍です。同じ高校でも、推薦で受けるのか一般で受けるのかで、合格のしやすさがまったく違います。

私立の推薦入試は、中学校と高校が事前に相談したうえで受験します。内申点の基準を満たしていることが確認されているので、結果として合格率が高くなります。

千葉県の私立で、入試結果が分かる高校は少ない

ここまで実質倍率で話してきましたが、困ったことがあります。そもそも公表している高校が少ないのです。

千葉県内の私立高校61校について、公式サイトを一通り確認しました。受験者数と合格者数を公表していたのは11校でした。公立高校のように県がまとめて公表するしくみが、私立にはありません。

残りの高校については、県が公表している募集人員と志願者数までは分かります。当サイトでは各高校のページに、公表されているものは実質倍率を、公表されていない高校は県の出願状況を、それぞれ出典つきで載せています。確認できないことは「公表されていません」と書いています。

まとめ

  • 私立の倍率には志願倍率と実質倍率があり、意味が違う
  • 志願倍率は募集人員で割った数。合格者数はそれよりずっと多い
  • 同じ受験生が何校も出願するので、志願者数はのべ人数
  • 見るべきは受験者数 ÷ 合格者数の実質倍率
  • 推薦と一般では合格のしやすさがまったく違う
  • 千葉県の私立で入試結果を公表しているのは61校中11校

志望校を決めるときは、数字の名前ではなく中身を見てください。「何倍」という言葉だけが独り歩きすると、受かる高校を自分から外すことになりかねません。

出典

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