倍率の読み方。志願確定の倍率は「何人落ちるか」ではない

進学塾リードアップ こんにちは! 高校受験ラボ・進学塾リードアップ代表の山田優輔です!

千葉県の公立高校が発表する「確定志願倍率」と、私立高校が自分の学校のサイトで発表する「実質倍率」は、同じ「倍率」という言葉を使っていますが、中身は別物です。確定志願倍率は、まだ学力検査を受ける前の、志願者数と募集人員の比率。実質倍率は、実際に検査を受けたあとの、受験者数と合格者数の比率です。ここを混同すると、倍率が高い学校を必要以上に怖がったり、低い学校を安全だと思い込んだりします。

「倍率」には、少なくとも2つの意味がある

千葉県公立高校の入試で「倍率」と言うとき、多くの場合は志願者数 ÷ 募集人員を指します。願書を出した人数を、その学科の募集人員で割った数です。この数字が出る時点では、受験生はまだ誰も学力検査を受けていません。

一方、私立高校が自分の学校のサイトで「実質倍率」として公表している数字は、受験者数 ÷ 合格者数です。こちらは学力検査が終わり、合否も決まったあとに出せる数字です。

両方とも「倍率」と呼ばれていますが、片方は検査の前、もう片方は検査の後の数字です。時点が違うので、数字が示している意味も違います。

公立の確定志願倍率を見てみる(令和8年度=今年2月に実施された入試の実例・188学科)

千葉県教育委員会が公表している「令和8年度千葉県公立高等学校入学者選抜 一般入学者選抜等の志願者確定数」には、今年(2026年)2月に実施された入試における、県立・市立の全日制188学科(地域連携アクティブスクールの選抜を含む)の志願者数と募集人員がまとまっています。ここでは倍率の読み方を確認する実例として見ていきます。次に千葉県公立高校の確定志願倍率が発表されるのは、令和9年度入試の出願を締め切ったあと、来年(2027年)2月です。

学科の数188学科
県内188学科の志願者数を募集人員で割った、県全体の倍率1.11倍
188学科それぞれの倍率を単純平均した数字1.00倍
倍率が最も高い学科千葉県立船橋高等学校 理数科 2.20倍(募集人員40人に志願者88人)
倍率が1倍未満(募集人員に届かなかった)学科86学科(188学科中)

学科の半数近い86学科で、志願者数が募集人員に届いていません。だからといって、これらの学科で誰もが自動的に合格すると決まっているわけではありません。千葉県の公立高校入試は学力検査と調査書の点数で合否を決めるしくみなので、志願者数が募集人員を下回っていても、点数によっては不合格になることがあります。確定志願倍率は、あくまで検査を受ける前の、人数の込み具合を示す数字です。

私立の実質倍率を見てみる

私立高校の多くは、受験者数と合格者数を自校サイトで公表しています。令和8年度の例です。なお、公立も実は「高等学校別受検者数一覧」と「高等学校別入学許可候補者数一覧」を公表しており、受検者数と入学許可候補者数(合格者にあたる数)から実質倍率を計算すること自体はできます。ただしこのコラムでは、まず押さえておきたい「志願倍率」との対比に絞って見ていきます。

学校入試区分受験者数合格者数実質倍率
昭和学院秀英高等学校一般1,269人569人2.23倍
日本大学習志野高等学校第一志望・特別入試285人192人1.48倍
千葉日本大学第一高等学校単願推薦76人75人1.01倍
千葉日本大学第一高等学校一般入試97人31人3.13倍

千葉日本大学第一高等学校の2つの数字を見比べてください。同じ学校でも、単願推薦は76人が受けて75人が合格(1.01倍)、一般入試は97人が受けて31人しか合格していません(3.13倍)。「千葉日大一の倍率は何倍ですか」という質問自体が、実は成り立ちません。どの入試区分の話かで、まったく違う数字になるからです。

なお、表の「受験者数」は、公立の「志願者数」とは少し性格が違います。私立の受験者数は、願書を出した人(志願者・出願者)から、体調不良などで当日欠席した人を除いた、実際に会場へ来た人数です。千葉日本大学第一高等学校の一般入試も、出願は99人でしたが、受験したのは97人でした。倍率を計算する分母は、願書の数ではなく、その日実際に机に座った人数だということです。

高い倍率=危険、低い倍率=安全ではない

公立の確定志願倍率は、検査を受ける前の込み具合を示す数字で、何人が実際に落ちるかを直接は示しません。私立の実質倍率は、結果としてその年その学校が何人を通したかに近い数字ですが、分母になる受験者の顔ぶれは学校・年度・入試区分によって違います。推薦入試のように、出願する前に基準を満たしているか学校側と相談したうえで受ける入試と、誰でも出願できる一般入試とでは、同じ「倍率2倍」でも意味が変わってきます。

倍率という1つの数字だけを見て、行き先を狭めたり、逆に安心しきったりしないことです。その数字が「検査の前」の話なのか「検査の後」の話なのか、どの入試区分の数字なのかを、まず確かめてください。

千葉市で進学塾を運営している立場から見ても、保護者の方から毎年いただく質問の多くが「この倍率だと危ないですか」という形をしています。そのたびに、まずどちらの倍率の話をしているかを確認するところから始めます。公立の確定志願倍率であれば、まだ学力検査の結果は反映されていません。私立の実質倍率であれば、どの入試区分(単願・併願・一般など)の数字かを確認します。この確認だけで、同じ数字への受け止め方はかなり変わります。

次にすること

ここまで見てきた数字は、令和8年度(今年2月に実施された入試)の実例です。今の受験生が受ける令和9年度入試の確定志願倍率が発表されるのは、出願を締め切ったあとの来年(2027年)2月になります。今のうちにできるのは、自分の志望校が公立か私立か、私立ならどの入試区分かを確認し、「志願倍率」と「実質倍率」のどちらの数字で判断すべきかを整理しておくことです。参考として、令和8年度の確定志願者数(2月13日時点)はこちらのページに学校別・学科別でまとめています。私立が併願校にある場合は、私立高校一覧から、志望校が受験者数・合格者数まで公表しているかを確認してください。

出典

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